(立ち入り禁止の地下道入り口)
旧岩崎邸の魅力の一つに本邸と地下道で繋がる撞球室(ビリヤードルーム)がある。撞球室の建物そのものは本邸のジャコビアン様式プラスコロニアル様式から比べるとスイスの山小屋風で簡素な感じがするが、本邸と少し離れた庭の先にある建物とが地下道で結ばれているというアイデアが何とも魅力的だ。それにその別邸がビリヤード室であるというのも遊び心に溢れている。
この旧岩崎邸に地下道で繋がった撞球室があると初めて聞いて、すぐに英国の児童文学作家A・A・ミルンの唯一の推理小説「赤い館の秘密」を思い出した。小学生の頃初めて読んで虜になった愛読書だ。
当初、設計したジョサイヤ・コンドルがミルンの「赤い館の秘密」を読んでいて、ヒントを得たのだろうと思っていた。しかし、最近ふと前後関係を調べてみてコンドルの設計のほうがミルンの推理小説の発刊より25年ほど早い事に気づいて驚いた。偶然の一致なのか、ミルンのほうがコンドルの設計にヒントを得たのかは謎だ。
(日本の洋館より 旧岩崎邸地下道)
地下道と撞球室の内部は非公開になっているのが残念だ。先日紹介した「日本の洋館」シリーズの中の写真でしか見たことがないが、タイル張りのアーチ型をした地下道はスリルに満ちた将にミステリーの世界だ。
(旧岩崎邸 撞球室内部)