旧岩崎邸は東京大学本郷キャンパスのすぐ裏手にある。最初にここを訪れた時も東京大学の中を通り抜けて行った憶えがある。安田講堂が高層ビル造りの校舎に囲まれ始めて、鉄筋コンクリート造りの建物が入らないように安田講堂を撮影することが殆ど不可能になった時代だ。医学部の霊安室などがある裏手を抜けて坂を降りていくと不忍門に出て、そこから不忍池に出ないように細い路地を少し歩くと岩崎邸の屋敷へ向かうアプローチに出る。
ジョサイヤ・コンドルの設計になるこの岩崎邸は17世紀英国のジャコビアン様式というのを基調としているがコンドルの得意だったコロニアル様式も取り入れているとのことだ。階段、二階からホールを見下ろす手摺、暖炉、ガラス張りサンルーム、回廊式ベランダなどどこを採ってもぞくぞく、ワクワクするような格調高い魅力に溢れている。