単身赴任中は毎日、早朝に会社に出社する前に単身アパートからすぐ近くの利根川支流沿いのサイクリングロードを1時間ほど走っていた。
その際にサイクリングロードから少し離れた所に何もない田舎道からすると不釣り合いな大きな建物があるのに気づいた。早朝の薄暗い時に最初に観たこともあるが建物も暗い焦げ茶色で陰気な雰囲気があり、規則正しく並んだ窓も廃墟に穿たれた孔のように見えて刑務所か何かではないかと思っていた。
何度も遠くから眺めていて気になったのである朝、少し明るくなってから近くまで行ってみることにした。すると何とそこは自分が通っている会社の独身寮なのだった。しかも寮としては最も新しい建物で一階部分にガラス張りのサンルームになった食堂まであるのだった。早朝、薄暗い中で最初に観た刑務所のような印象とはまったく違ったものだった。