木曽路の旧中山道の宿場町Ｎ宿へ急遽引っ越すことになったＨさんはその時はまだ独身だった。とはいっても、私からみれば母と姉の中間ぐらいの存在で、まだ浪人生だった時代にお金の無い貧乏学生だった私にお昼を奢ってくれたりとか色々面倒を見て貰った方だ。御実家は旧宿場町の由緒ある家だったようだが、Ｈさんは一人娘で他に家を継ぐ人がおらず、やむなく田舎へ戻ったという事情だったらしい。私が泊めて欲しいというと快諾された。
Ｎ宿への道は３年前に同じ教会の青年会の仲間だったＭ氏に信州ドライブ旅行に連れていって貰った国道２０号を使うことにした。あの時と同じく塩尻まで甲州街道をずっと飛ばして塩尻峠からは道を旧中山道の国道１９号に移り、Ｎ宿を目指したのだったと思う。
例によって食費を極力ケチる為に家でお昼を食べてから出発し、おそらく５時間ほど掛けてＮ宿へ到着したのだったと思う。
