新聞屋の店舗の次に見つけた昭和な感じの店は理髪店だった。青、白、赤の斜め縞の回転灯をつけた理髪店というのは町のあちこちに見られたものが、何時のまにか町から一掃されて観なくなったのはいつ頃からだったのだろうか。多くはビルの中のテナントとしてヘアーサロン等の名前に変わっていったものと思われる。旧市街にひっそりと建っていたこの古い理髪店はよくみると看板建築と呼ばれる通りの正面側だけ目立つように飾られた壁の造りで、その後ろ側は極普通の和風建築というものだ。関東大震災以降に多く作られた店舗兼住宅の典型なのだという。
店の正面のガラス窓には髪型の見本を示すポスターが貼られていた。モデルはDAIGOと今風だが、理髪店で髪型のモデルのポスターを貼るというのはいかにも昭和な感じがしてならない。