夕食を終え、早速仲居に片づけを頼む。和室での食事だったので、和室と洋間の境の障子を閉てて、洋間のベッドに寝転んで待つ。仲居の片付けは乱暴で、がちゃがちゃ音を立てていて品がない。この辺もホテル八千代との従業員の躾にも大きな差が出た。
翌2日、日曜日さっと風呂へ行き、その後、海岸へ散歩に出ようということになる。今度は逆のコースを辿り、まずホテルから真っ直ぐに海岸に下りる。アロウド浜には数人が散歩に下りていた。ウグイスやその他の鳥たちがひっきりなしにすぐ傍で鳴いていた。白山洞門まで行ってから戻ることにする。
ホテルの朝食は今度は1階の広間だったので、部屋へはあがらず、そのまま朝食を採ることにする。準備を待っていると、後ろの席で事件が起こった。竹の弦のついた土瓶から湯を注ごうとしていた後ろの客だったが、持ち上げた途端に弦がはずれ、湯がこぼれてしまったのだ。幸い、火傷等は無かったようだったが、仲居は「大丈夫ですか。大丈夫ですか。」というだけでうろうろするばかり。うしろの客がかすかに(大丈夫じゃねえよ。)と呟くのが聞こえた。
食事としてはまあ普通といったところか。特に何が良かったというはっきりとした記憶がないが、自然のものが多く、それなりに四国へ来たことを感じさせた。