四国を旅行しようということになったのは、熱海に十年目となる年末旅行をした翌年だった。どういう経緯だったのかはもうはっきりとは憶えていないのだが、多分その年の4月から下の息子が中学生となり、上の娘はもう高二でそろそろ本格的に受験の準備が必要ということになり、家族で一緒に旅行をするということに限界が来ていたせいだろう。それならば夫婦二人で子供は家に留守番させて旅行をしようということになったのだったと思う。
日本の全都道府県の中で、私自身は既にその殆どを制覇していたが、唯一行ったことがないのは四国四県に集中していた。妻のほうは私ほど全都道府県を制覇していた訳ではないが、四国はやはりまだ未開の地ではあった。
子供が生まれて以来、夫婦二人での旅行は二十年ぶりぐらいの事だったので、折角ならまだ行った事のない四国を旅行してみようということになったのだったと思う。