南仏は南仏らしいホテル、これがプロバンス旅行の夢である。南仏らしいホテルとは、・・・。
南仏の旅行案内にある宿泊にはB&Bなるものがある。Bed and breakfast で、宿泊朝食付きということになるのだろうが、そういう意味から付いている名前であろうが、ニュアンスはちょっと違うようだ。南フランスの田舎の農家が「部屋を貸して、朝食まではつけますよ。」ということらしい。
大抵は、街からちょっと離れた郊外の大きめの農家で、鄙びた感じだが、女将さんは親切で人懐っこいという感じのようだ。
オーベルジュというのもある。これは料理が専門で、ついでに泊まってゆくという感じらしい。田舎の昔風の邸宅を改造して、小奇麗なレストランを仕立て、手入れの行き届いたテラスにテーブルを並べてゆっくりワインを傾け、小奇麗な部屋で泊まらせてもらうといったタイプ。
いずれにしろ、南フランスでは郊外の田舎屋敷に泊まるのがいかにも南仏風でいい。
しかし、南仏初めての旅行ではなかなかこうは行かなかった。パリからはTGVが伸びていて、3時間ほどでいける。が、日本と違って電車の路線はそうそうある訳ではない。しかし、プロバンスは広大だ。どうしても郊外のほうへ足を伸ばそうとすれば車が必要になる。郊外のホテルに宿泊するなら尚更だ。
我々の場合、南仏が初めての旅行で、子供連れ。しかも夫婦ともども飲兵衛ときている。幾ら広々していて運転し易いとはいえ、慣れない左ハンドルの右側通行で、ワインも制限しなければならないとあっては、充分楽しめないと、郊外のホテルは諦め、街中のホテルで、観光はハイヤーのチャーターを選んだ。
荷物もあるので、南仏の中心地を本拠地にして、そこからハイヤーで回ろうと考えたので、宿泊地にアビニョンを選ぶのは自然だった。プロバンスのほぼ中央に位置し、そこそこの大きさの街で、街自身が観光地。ホテルの数も多く、(実際には使うことはなかったが)フランス国鉄のSNCFの駅からも近いところが選べる。