米国出張の旅行記が出てきて、空港まで迎えにきてくれた現地駐在事務所の社用車がプレーリーとバネットラルゴであったことを改めて思い出した。所謂ミニバンと呼ばれたジャンルだ。
いずれの車両もN社が米国市場に新規展開したばかりの車両で当時流行し出していた四輪駆動仕様が導入されていた。乗用車に四輪駆動が必要かどうかについては、私自身は常々疑問を抱いていた。しかし、雪の散らつく冬場のデトロイトへ来て見て、その有用性を初めて知ったと言っていい。四輪駆動はスタック状態(タイヤがスリップして雪の中から抜け出せなくなること)からの脱出には威力を発揮するが、スリップして止まれなくなることに対してはあまり有用ではない。止まれないのなら発進出来ても意味がないと思っていたのだ。しかし、米国のように土地が広い場所では適当に障害物を避けさえすれば何時かは必ず車は止まる。逆に人家が近くには無いような広大な土地の途中で冬場にスタックしてしまうと人命にかかわるのだ。インターステートと呼ばれる州間を結ぶ幹線道路には少し窪んだ広い中央分離帯があるのだが、雪の降り始めにそこへ落ち込んで抜け出せなくなっている後輪駆動のアメ車を何台も見掛けた。なるほどなと空港から四輪駆動車で送って貰いながら、そんな事を考えていた。