岡山から中庄というところを越えて、倉敷まであと一歩という処まで達した。
倉敷からは伯備線、井原線という路線が出ていて、いずれも横溝正史に所縁のある場所へ導いてくれる。横溝の疎開先は井原線の真備町というところ。伯備線の清音駅は、本陣殺人事件構想の元となったらしい川辺脇本陣跡がある。
伯備線を更に北上すると、岡山からやってくる吉備線と合流する総社に至る。総社は悪魔の手毬歌などに出てくる場所だ。
つい最近だが、文芸春秋が7月臨時増刊号として出した日本の美しい女(ひと)という写真集を購入した。昭和を鮮やかに生きた66人の麗しき女性たちとサブタイトルが付いている。表紙の夏目雅子以外は全てモノクロームである。
頁を繰っていくと、数々の金田一耕助シリーズの真犯人を演じた名女優たちがずらずら出てくる。悪魔の手毬歌の岸恵子、犬神家の一族の高峰三枝子、獄門島の大原麗子、悪魔が来りて笛を吹くの鰐淵晴子、本陣殺人事件の淡島千景。懐かしいシーンが目に蘇ってくる。