庚申塚の駅へ戻り、路面電車を待つ。そこで初めて、ホームらしきところで先着順に列を作って待つのがしきたりらしいことを知る。次は鬼子母神を目指したのだが、そこへつく一つ手前で鬼子母神に行く駅を近くの婦人に訊いていた老夫婦が、婦人から鬼子母神前ではなくて、ひとつ手前で降りるのだと教えられていた。その婦人も確かではないらしく、「そうですよね。」とこちらに同意を求めるので、「さあ。」と首を傾げる。一つ手前の駅で降りようとしたら、他の客がそうじゃないと言ってくれたので、結局鬼子母神前までゆくことになる。まったくいい加減なことを言うおばさんだと思ったが、悪びれた様子もなかった。鬼子母神に着く数駅前で、携帯の録音で都電のチンチンという音を収録しておく。
