おばんざいの店「うしのほねあなざ」は、出てくる料理が皆、個性的で次から次へと頼んで、もう何を食べたのか、何を呑んだのか覚えきれていない。相当居心地が良かったようだ。
隣の席に初老の男性と四十前ぐらいの女性のカップルが居て、敬語を使っているところから夫婦ではない。怪しげなカップルという感じで気になってしまったが、作家と担当編集者といった辺りの関係なのだろうか。
店に入った時はまだ明るかったのが、店を出るころにはもうとっぷりと暮れていた。息子と別れて町屋の続く家並みをホテルまでとぼとぼ歩いて帰る。