夕食の後、暮れて行く夕陽を見ながら風呂を浴びようと三度目の湯に入りに行く。最初誰も居ないと思ったのだが脱衣所に半裸の男が居る。よく見るとさきほど夕食の際に妻の裏側に居たカップルのうちの男のほうだった。
最初ダンスの練習でもしてるのかと思ったのだが、奇妙な動きを全身でしていて、暫くしてそれは宗教的儀式のようなものであるらしいことが判る。東西南北の方角を夫々向いては何か祈りでも捧げている風だった。
その後すぐ出ていってしまったので、後は一人でゆっくりと湯につかりながら暮れて行く伊豆の海岸を眺めていて、さっきのは何だったのだろうとずっと考えていた。