我々の世代では精霊流しと言えばグレープ、さだまさしの精霊流しだ。テレビの映像などで長崎のこの風物詩の様子は何度も見ている。しかしあくまで報道の情報でしか知らず、何処か現実味のないものだった。
ところが鹿児島県 大口での義父実家の旅の三日目の夜、これを実体験することになる。義父の親戚の家での新盆だったからだ。泊めて貰った親戚の家から川までは15分位歩いたような気がする。辺りは真っ暗だった。親戚の者達十人ほどでとぼとぼ歩いていた。蛍こそ居なかったが、空には満天の星が輝いていた筈だ。
初めて観る川面を流れていく燈籠は、何だかぞくぞくっとするものを感じたのを憶えている。