８０年代終りから９０年代初めの頃、会社企業はそれまでの画一的な取り組みを脱却して、コンサルタントなどの指導により新たな試みを企業内に持ち込もうという動きが盛んだった。バブル景気で浮かれていたというのもあるのだろう。そんな取組の一つに管理職になる為の試験の一環として、異業種訪問とそのレポート提出というのがあった。訪問先は会社の伝手を使わず、自分で探し出してきてアポを取るというものだ。私がそれを受ける前の年から始まったもので、もう今ではやっていない筈だ。
私の弟は流通業界大手のひとつの会社に就職していて、日本国中の店を転々としていたが、偶々その時は沖縄の店舗を任されていた。それで私は弟に頼み込んで職場訪問をさせて貰うアポを取ることにした。私の会社は関東を拠点としていたので、常識的には都心の会社を訪問するというのが人事の想定だったようだが、特に訪問先に制限は付けていなかったので、飛行機を使って一泊で沖縄へ行ってくると私が申し出ると、NO!とは言えなかったようだ。
