草津温泉では宿選びなどはすべて年上のM氏におまかせだった。予約は全くなくての飛び込みで、出せる宿泊代も限られている。どんな場所だったかもう殆ど憶えていないが、女中部屋のような狭い部屋だったことだけ憶えている。
M氏に旅の仕方で教えて貰ったことは幾つもあるが、そのうちの一つは食事は旅館で採らないで素泊まりにする事。もう一つは酒類は隠してでも必ず外から持ち込む事だ。酒の肴には魚肉ソーセージを入れる事。この時もそうしている。学生ならではの旅行の仕方と言える。
この時の事ではないが、それ以外にもいろいろ教えて貰っている。旅館に泊る旅をするなら12月のクリスマス以後で大晦日の前を選ぶこと。宿が一番閑散として安くなるのだ。これはその後もこのやり方で年末家族旅行を恒例の様にやっていた時期がある。