我々がパリで投宿することにしたホテル、スクエア・ダンバースは旅行前に是非泊まりたいと捜していたプチ・ホテルそのものだった。昔ながらのパリのアパルトマンとして出来た石造りの建物の中にあって、大人二人で満杯になってしまうような透けている柵の古いエレベータがあって、階段は螺旋状になったお洒落な手摺りが付いたもの。部屋にはバルコニーに出られるフレンチ・ウィンドウが付いていて、パリの街角が眺められる、そんな部屋を想像していて、その通りのホテルだった。造りは古いが、小さなフロントでは部屋の監理をパソコンでしていて、予約も殆どがインターネット経由のようだった。客も外国人が多く、我々が到着した時に二人の若いアジア人女性の旅行客が言葉が通じず困っていて、フロントの男が同じアジア人だから言葉が通じるのではないかと声を掛けて来た。話を聞いてみると中国人でカントネーズ（広東語）しか判らない様子だった。それでも英語は片言で判るようで、後は漢字で書いてあげたりして何とか通じたようだった。
