norimakihayateの日記

バーチャル旅日記からスタート。現在は私の国内旅行史に特化しています。

ピカソ・シルヴェットの肖像

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 昨日は奥中山高原というところから一駅分だけ、小繋(こつなぎ)というところまできた。この辺りも土地勘がないので、昨日に引き続き初めての一人旅での東北旅行の時の話題にする。

 

 十和田湖田沢湖と湖を二つ梯子した後、何故か秋田駅へ向かっている。こんな時でもなければ、秋田県へ入ることは無いだろうと思って寄ってみたのだろう。実際、この時以来、二度と秋田の地を踏んでいない。

 

 はっきりとは憶えていないが、秋田駅には鉄道で降り立った憶えがあるので田沢湖駅から田沢湖線で大曲まで行って、奥羽本線で秋田に向かったのだろう。秋田へは只の思いつきでやってきたので、特に何処といって当てがあった訳ではない。秋田駅の構内でブルーガイドブックスを開いて、近くの公園に美術館があるのを見つけて寄ってみることにした。平野政吉美術館だ。調べてみると現在は秋田県立美術館になっている。個人の所蔵を県に移譲したらしい。

 

 藤田嗣治の作品が多かったように記憶しているが、ほぼ最後の出口近くの所で一枚の絵に目が釘付けになってしまった。美しい金髪の少女の横顔を描いたものだった。作者はピカソだった。ピカソ特有のデフォルメされた抽象のような絵ではなく、写真に近いような具象の肖像画だった。それがシルベット肖像画という何枚も描かれたシリーズのうちの一作であるのを知ったのは、旅行から帰ってきてからだった。どこかで観たような気がして中学生時代の美術の教科書をひっくり返していて冒頭の抽象のほうのシルベット像を見つけたのだった。

 

 この秋田の美術館でシルベット像に見入っていたら、初老の男性が後ろから近付いてきて声を掛けてきた。どこから来たのかとか、絵が好きなのかというような他愛もない話をしたのだと思ったが、手にしていた美術館のパンフレットにサインまでしてくれた。あまりに達筆で何と書いてあるのか今でも読めない字が多い。その美術館の館長だろう位に思っていたのだが、微かに読める寄付という文字と最後の年齢とから、創立者の平野政吉氏本人であったようだ。

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