七里ガ浜を過ぎて由比ガ浜で標識がなくて行き過ぎかけたが、すぐに気づいて戻り、八幡宮の通りをまっすぐに北上し、予定通り八幡宮の西南の角から裏通りに出る。高校の同級生Ｎ宅と謎の洋館、古我邸を捜す為だ。横須賀線の踏切を渡ってすぐに印刷して持ってきたＮ宅の地図をたよりにＪ寺境内を巡る。
切通しの崖に穴を穿った場所があり、本当にこの先に家屋があるのかと思ったところに、Ｎという表札があった。年賀状の返事が来なくなって、病気で伏せっているか、もしや亡くなっているのではと思い込んでいたので、ひっそりとした二階屋の奥に明かりが点っているのを見て思い切って訪ねてみることにする。呼び鈴を押すと女性の声。出てきたのはいかにも古く鎌倉に住んでいますというような上品そうな銀髪のおばあさん。最初は不審そうにみていたが、息子の高校の同級生と判ったようで、丁寧に挨拶してくれた。言葉の端々から、元気ではいるが人付き合いがなく、仕事から帰ったら家に篭もりっぱなしという生活が伺えた。しかし元気だというのは判ったので、「ＸＸが来た。」とだけ伝えてくれればいいからと辞することにする。
