駒井邸に入る前、ちょっと趣のある建物が横にあるのに気づいた。古めかしい洋風の建物で、ただのボロアパートではない気がした。駒井邸の中庭からも生垣越しにその二階部分が見えた。
駒井邸を出た後、そちらの建物にも寄ってみると三角屋根の玄関にはもう字が読み取れないほど朽ちようとしている看板がある。後で自宅に帰った後、グーグルで調べてみて銀月アパートメントという建物であることが発覚した。現役のアパートらしいのだが、知る人ぞ知る有名な建物らしかった。玄関のすぐ隣の二階の部屋の窓が空いていて怪しげなランプの灯りが見え、江戸川乱歩の怪人二十面相でも出てきそうな雰囲気だった。