大阪を過ぎ、尼崎の先まで到達した。
大阪へはプライベートでも仕事でも何度か訪れている。一番、記憶に残っているのは、仕事のほうだ。四天王寺の近くに夕陽丘という場所があって、そこに大阪府立夕陽丘図書館というのが嘗てあった。そこへ特許調査の為、泊まり掛けで出張したのだ。この図書館は特許関連の資料を大量に所蔵していることで有名だった。
今でこそ、特許調査と言えば、検索を駆使して巨大なデータベースの中を探し回るのだが、その当時はめくりと言って、特許公報を収めた分厚い本を何冊も持ってきて、一日中一頁ずつめくっては、目で関係する資料を捜すというものだった。確か、１０人弱ぐらいの調査隊と称するチームを組んで三泊四日ぐらいで大阪の市内に泊まり込み、図書館の開く朝９時頃から、閉館する夕方５時位までただひたすら資料をめくり続ける。若い頃なので作業が大変とは思わず、会社の仕事なのに普段滅多に訪れることのない大阪まで旅行出来るというので楽しかった思い出だ。仕事が終わると、道頓堀、食道楽などに繰り出したのだった。
プライベートではちょっとほろ苦い思い出しかない。大阪城址で撮った写真が一枚だけ残っている。長髪、ダッフルコート、ベルボトムジーンズ・・・。何とも懐かしいような、気恥ずかしいような時代だ。
