大学のサークルでの夏の合宿というのは、ある種のかけひきの場でもある。大学や短大に入学してくる他校を含めた女子大生たちに入部の勧誘をし、入ってきた新規女性部員たちが何とか打ち解けて、そのうちの何人かが新らたなカップルに成り始める時期が夏の合宿の場なのだ。
そういう雰囲気を盛り上げるかのように、合宿の夜では誰と誰がカップルとして合いそうかを占うようなトランプ心理ゲームが毎晩のように行われていた。具体的にどんなゲームだったかは忘れてしまったが、キングのカード四枚とクィーンのカード４枚を使って男女四人ずつが、「ＸＸなのは誰か」というような質問をして、順番に答えてゆくというようなものだったと思う。
私もその合宿の頃には特定の彼女なるものは居なかったが、気になる存在は居ることは居た。合宿直前に抜けた女性ボーカルの後釜としてグループに新たに入って貰った女学生だった。その娘を狙っている男性は別にもう一人居て、何かにつけアプローチをしかけていたようだ。私のほうは部長という立場で、何かにつけ雑用係で忙しいのでアプローチをしている暇もなかったのだが、一度だけ皆で外にサイクリングに出掛けようとなった際に、タンデム自転車の後部座席に載せることには成功していた。
