さて、昨日は大磯から出発して、二宮を過ぎ、国府津まで達している。
この辺りに来ると頭に浮かぶのは、鯵の押鮨である。正確には小鯵押寿司だ。何故押鮨
かというと、大磯を過ぎてすぐくらいにこゆるぎという地名を見かけるようになる。
こゆるぎと言えば、こゆるぎ弁当である。この辺りの駅弁の定番商品である。そして
こゆるぎ弁当と言えば、鯵の押鮨とどちらが旨いか、駅で買う際にどちらを選ぶかとい
う話になる。
私は昔から鯵の押鮨派である。しかしこゆるぎ弁当も捨てがたい。おぎのや峠の釜飯
にも匹敵する美味しい茶飯である。しかし、私は鯵の押鮨かこゆるぎ弁当か迷う時は、
間違いなく前者を選んでいる。私が最初にこの押鮨に出遭ったのは、日帰りサイクリン
グツアーで初めて遠出をして真鶴岬を目指した時だったと記憶している。真鶴駅で腹が
減って、何か食べるものを捜した際に出遭ったのがこの鯵の押鮨弁当だった。以来、ず
っとファンである。鯵の押鮨というと、大船駅のものも有名らしいのだが、私にとって
の馴染は、小田原駅を中心に近辺で売られているらしいこの東華軒のものだ。
さて、前回は西行法師の鴫立沢の名句を引用した。西行にはもうひとつ好きな句があ
るので、ついでに紹介しておこう。
願わくば花の頃にて春死なむ その如月の望月の頃
確か、辞世の句だったように記憶しているが、間違っているかもしれない。
この句がこの地に関係しているかどうかも定かでないのだが、花、春、如月とくると、
思い起こされるのが、大磯の先、二宮駅のすぐ傍にある高台、吾妻山公園だからだ。
睦月から如月に移り変わる頃、必ずというのは言い過ぎだが、訪れたくなる公園だ。
結構な標高があるので、頂上までは息が切れる。その分だけ眺めはいい。天気さえ良
ければ、冠雪した富士の霊峰も、春霞に浮かぶ伊豆大島も見渡せる。そろそろまた菜
の花をみるのにちょうどいい頃合いとなる。