ホテルで朝食を採った後、いよいよホアン・キム湖の西方にある大聖堂に行ってみようということになって、湖のほとりに沿って暫く進んでから大きな通りを渡ることになる。
道路の渡り方というのは空港からホテルへ向かうマイクロバスの中で現地案内人から指南があった。結構大きな通りでも信号の無い交差点が多く、オートバイが四方からひっきりなしに走って来るところを歩いて渡る必要が生じる。その際には決して急がず、立ち止まったりもしないで同じペースでゆっくり歩いていけば、オートバイのほうで避けてくれるというのだ。交差点の中で急に除けたりするほうが危ないとの事だった。
最初はびくびくだったが、一度渡ってみるとすぐに慣れてくる。現地の人は勿論こともなげに平気で渡っている。オートバイは相変わらず二人乗りが多い。
ビュッフェの料理を一通り採ってきたところでホテルのフォーを頼んでみる。前夜食べた夜店のものと比べてみようと思ったのだ。出てきたものは鶏のつくねのようなものが入っていて、味も繊細で上品な感じだ。夜店のほうが味がワイルドで香りも強かった気がする。ホテルのも悪くないが、やはり夜店のほうに軍配をあげたい。
朝の散歩からホテルへ戻り始めた頃には、そろそろ出勤時間に成り始めたのか、オートバイで出掛ける人が増え始めていた。それも大抵は二人乗りだ。昼間、店などをみると駐輪しているオートバイで一杯という所が多く、一人一台で乗っていると停めきれないせいではないかと思われる。
昨日妙に懐かしい気がすると書いたのだが、自分の幼少期を思い出す気がする。錆だらけの古い自転車を直し直し乗っているとか、荷物を棒の両側にぶら下げて肩で担いで運ぶなどの姿は子供の頃に自分も日本でみたことがある気がするのだ。極め付けは次の写真だ。日本では自殺や他殺事件でしかもう殆ど見る事がなくなった練炭だが、自転車にこれでもかというぐらい載せているところを見ると、普段の生活でそうとう使われているのだろう。道端で春巻きを揚げているオバサンが使っているコンロも練炭の火だったようだ。
一夜明けて最初の朝を迎え、朝食の前に街を散歩してみることにした。昼間はオートバイがひっきりなしにブンブン大きな音を立てて行き交っているが、まだ出勤時間前らしい通りはひっそりとしていた。前の晩にフォーを食べた店で使っていたようなプラスチックの小さな椅子に腰かけて談笑している風景が妙に懐かしい気がする。自転車で物を売り歩く人もおおく、人力車みたいなものもある。たしかシクロという乗り物だったと思う。手前の女性は売り物らしいドラゴンフルーツを一杯運んでいる。
もう一枚の写真は道路というのか、歩道で料理をしている風景だ。調理人は写っていないが、何かを取りに家の中に入ったのだろう。肉などを捌いて焼くのは道路で行うのが普通のようだった。
昨日、書きそびれたのだがソーセージ二本と焼鶏４串でトータル２６０円ほど。揚げ春巻きのほうは二個で３０円という安さだった。ビールも銘柄によって異なるがだいたい３０円から４５円という感じだ。
腹ごなしに夜の街に散歩に出ることにした。湖の北東側は遊園地になっていて夜だというのに子供を連れた家族がいっぱい出てきている。昼間は暑いので夜、外で遊ぶのかもしれない。メリーゴーランドなどがネオンに飾られていて夜の街に映えていた。
ホテルへ戻る道の途中、レストランとも屋台とも言えないような不思議な店を見つける。道路の歩道に風呂場で使うような低いプラスチックの椅子とテーブルを並べてそこで供するのだ。食べ物は一応店の中で作っている様子だった。
ふと道路の反対側をみるとやはり同じ様に人が沢山集まって歩道で食事をしている。ベトナムでは道路で調理をしたり食事をしたりするのが普通らしかった。
