海外へ出掛ける時は成田の免税品店で旅行中に呑むウィスキーを買っていくのがならわしになっていたのだが、この年から初めてプラスチック製のボトルに入ったシーバスを買っている。ガラス製のボトルは重いので、旅行者にはプラボトルはとても有り難い。
韓国へのフライトは2時間半ほどだった。向かったのは金浦空港。今では韓国のハブ空港は仁川(インチョン)国際空港になっているが、初めて韓国を訪れた時は仁川空港の開港直前、1箇月ほど前だった。
窓側の席で飛び立ってすぐに眼下に東京湾から相模湾へと移る際に三浦半島が観てとれた。その後、山麓の半分ほどを冠雪した富士の姿を目にする。
隣の席はとても礼儀正しい韓国人の青年だった。見た目は日本人と殆ど変らないので、CAが日本語で話し掛けて反応しないので聞こえなかったのだと思ったらしく、更に大声で日本語で話し掛けていた。私が眼下の富士さんに見入っていると、その青年が「あれは富士山か?」と英語で話し掛けてきた。それをきっかけにフライトの間、お互い片言の英語でいろいろ話をしたのだが、どんな内容だったかはさすがにもう全く憶えていない。
その日の夕方には最初のミーティングがある事になっていたのだが、機内ではCAにビールを頼む。海外へ行く時はいつもその国のビールを呑むことにしているのだが、その時乗った日本エアシステムでは日本製のビールしか積んでおらず、仕方なくキリンビールにしたと当時の日記には書かれていた。