前にも書いているが、幼年期の頃で谷戸山公園が出来る前、この地の近くに棲んでいた。その頃、通っていた個人医院が公園敷地の傍にあったのでそこにも寄ってみた。
何もなかった葦の野山が開拓されて平屋の分譲住宅が作られ始めた頃で、その一角にその医院はあった。児の旧字である「兒」という漢字を使って内科と小児科を扱うT内兒科と書かれた看板が掛かっていて、蔦の葉に絡まれたコンクリート打ちっ放しの高い塀の奥に診療室のある洋館で、その頃好きだった江戸川乱歩の小説に出てきそうな謎の洋館という感じで、そこに入る時にはゾクゾクする思いを感じたのを覚えている。
2010年の頃、再度訪れたら屋敷毎無くなっていて更地になってしまっていた。