山陰 出雲・松江の旅 ９

　この年は式年遷宮という出雲大社の建て替えをする前の年だった。その為、敷地のあちこちで既に工事は始まっていた。

　ひと通り見どころの場所を巡って、一番奥の本殿の前へ出る。本殿の入り口の門は工事中で完全に養生に覆われていたが、その向こう側に国宝である本殿の屋根が少しだけ見えていた。工事中の門部分の脇にちいさなくぐり戸のようなものがあって、高校の修学旅行の際に一瞬の隙を突いてその戸を潜り抜け本殿の柱に級友と二人で触れにいったことを思い出しながら妻にその場所を教える。