自転車一人旅に出発したのは、師走も押し迫った12月18日だった。天気は雨が降ったり止んだりで、時折みぞれになったりしていた。
途中、幹線道路から一本奥に路地を入ったところで定食屋のような食堂でカツ丼を食べたとずっと思っていたのだが、日記をみると出発したのは12時とあった。おそらく昼食代を削る為に家で食べてから出発したのだろう。してみると食堂でカツ丼を食べたのは下見ツーリングの時だったかもしれない。
二つ目の大きな峠であるN尾根の頂上付近で、最初のトラブル発生。ギアチェンジ用のワイヤが切れてしまったのだ。勿論替えは持っていない。取りあえず峠の頂上まで押してゆき、そこからは下り坂になるのでトップギアで固定されてしまった自転車で下って行く。A山というところで自転車屋を見つけるがスポーツタイプの自転車のワイヤは置いてないとにべもない。仕方なく、更に進んでいくとA津という場所にもう一軒自転車屋がみつかり、ワイヤもあったので工具を借りてその場で直す。
相模湖に辿り着いた午後3時前にはみぞれから変わった雪がさんさんと降り始めていた。湖畔で少し休んだあと、一山戻ってユースホステルを目指す。
その日の日記に書いてあったひと言。「教訓:逆境のときこそ困難を乗り越える甲斐あり」