norimakihayateの日記

バーチャル旅日記からスタート。現在は私の国内旅行史に特化しています。

いざいきめやも

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 信濃追分を出て御代田、平原と経由し、小諸まであと一歩のところまで来た。軽井沢から信越本線に復帰したと思っていたが、JR時刻表をよくみたら、信越本線ではなく、しなの鉄道という第三セクターの経営によるローカル線であることに気づいた。そう言えば、5年ほど前に中軽井沢のさる会社の保養荘で行った大学の同窓クラス会の際に、新幹線で東京方面に帰る我々グループと、しなの鉄道小海線経由で物見遊山をするグループとで軽井沢駅で別れる際に、JRとは別ホームに入ってきていた、いかにもローカル線という明らかにJRとは雰囲気を異にする車両を見たような気がする。

 

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 出発点の信濃追分には、堀辰雄文学記念館がある。ここから軽井沢からこの路線、そして小海線を経て諏訪湖のほうへ至る路線は、なにかと堀辰雄に所縁のある場所が多々あるようだ。昨年観た宮崎駿風立ちぬ。二郎と菜穂子が初めて出逢うホテルは軽井沢の三笠ホテルか万平ホテルなのだろう。富士見のサナトリウムもこの路線沿いだ。

 

 教会で時折耳にする聖書の詩編、主はわたしの牧者。その第二節に「たとえ死の陰の谷を歩んでもわたしは災いを怖れない」という箇所がある。それを聴く度に堀辰雄風立ちぬの第2章の荒涼寂寞とした雪の谷の中の風景が頭に浮かんでくる。あれは軽井沢か、中軽井沢の冬の山荘なのだろう。

 

 Le vent se lève, il faut tenter de vivre

 

 このヴァレリーの詩を堀辰雄は誤訳したとよく言われているようだ。ま、そうかもしれないが、風立ちぬ、いざいきめやもは美しい響きがある。