何年か前の事だが、テレビでサスペンスドラマを観ていて私と妻とで意見が食い違ったことがあった。観ていたドラマは確か名取裕子が出ていたサスペンスドラマだったと思うが、舞台は京都、南禅寺裏の水路閣という煉瓦造りの水道橋の真下だった。
私が「あそこは昔、結婚した後一緒に行ったよね。」というと、妻は「私、行った事がない。誰か別の人とじゃないの。」というのだった。私の記憶ではそれまで京都には修学旅行を含めて五回しか行ったことがなく、直近の大学時代の独り旅と高校時代の修学旅行では巡った場所はしっかり覚えているので結婚後の妻と出掛けたその時しかあり得ないと確信があった。
しかも南禅寺は妻と出掛けた時が初めてで、山門にあがったのも初めての経験だった。そして南禅寺に行って、その境内にある水路閣を観ていない筈はないと思うのだ。
この時は南禅寺の山門、水路閣と観て、その後初めて哲学の路を歩いている。途中でコンビニのような店によって缶チューハイを一缶ずつ買って呑みながら歩いたのは妻もよく憶えていて間違いない記憶だとお互い認識している。