norimakihayateの日記

バーチャル旅日記からスタート。現在は私の国内旅行史に特化しています。

軽井沢 レスキュー隊

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 会社二年目の冬には私にも部下が出来ていた。一年後輩で入ってきたK君だ。新システムを前年春に立上げ、その機種拡大を担当していた私達のグループはリーダーが総括のYN氏、先輩の主任YZ氏、そして私と部下K君の四人チームだった。

 正月休み明けの最初の週末、リーダーのYN氏の車のレスキューに軽井沢へ向かうことになった。というのはリーダーのYN氏は正月に家族で軽井沢にある別荘で過ごしていたそうなのだが、正月休み明け乗っていった車のエンジンが掛からず仕方なく車を置いて電車で帰ってきたというのだ。YN氏の車はまあまあ高級車で、当時はまだ少なかった燃料噴射式、俗にいうインジェクションというタイプだった。この頃のインジェクションの車は低温始動はまあまあいい方だったが、一度始動に失敗するとプラグが被ってしまうという現象が起き、それ以降エンジンが掛からなくなってしまうことがままあった。

 先輩のYZ氏に言われてバッテリーチャージャー、ブースターケーブル、予備の点火プラグの他、工具一式を揃えて準備し、車は一番下のK君が買ったばかりの中古の小型車を出すことになった。

 土曜の朝、会社に集合して我がチーム四人が集まってK君の運転で軽井沢に向かう。道路に雪は無かったがあちこちまだ冠雪していた。YN先輩の別荘に着いて完全に上がってしまっているバッテリを一晩掛けて充電し翌朝エンジンを掛ける手筈となり、その晩は買出ししてきたもので宴会をして別荘で過ごした。

 先輩で技師のYZ氏はこういうのにはとても慣れていて、翌朝まず配線の何処かを外して燃料が出ないようにしてもう一台のK君の車とブースターケーブルでバッテリ同士を繋いだ状態で1、2分間YN氏の車のエンジンを空回りさせ、エンジン内の溜まったガソリンを全部吐き出させた上で、配線を元に戻して再度エンジンを掛けると一発で始動した。

 ただそのまま帰るのは勿体ないと二台の車で近くの万座スキー場まで出掛けスキーを楽しんでから帰ることになった。K君はスキーだけはプロ並みの腕前を誇っていた。