（出発前）
社会人になってからは当然ながら会社の仲間との旅行が増える。その最初となったのが伊豆の海辺にあった民宿への一泊海水浴旅行だった。
会社の同期仲間は大きく分けて独身寮組と自宅通勤組に分かれていた。私はその後者のほうだ。その自宅通勤組仲間、五人ぐらいで車で出掛けたのだ。当時は車は殆ど家の車で、自分の車を持っていたとしても親に買って貰った車だった。出掛けた場所は西伊豆の堂ヶ島の近くでトンネルを抜けてすぐの所にある内海になった湾がある海水浴場だった。今地図で調べてみると安良里海岸というところではなかったかと思われる。男ばかりの旅行だったので、女性グループへのナンパを試みるがことごとく撃沈したように思う。
自動車関連会社だったので、車には人並み以上の関心がある者ばかりだった。同じ民宿に別のグループで何台もの同じ車型の車を真っ赤な塗色で統一して乗り付けていた相当車にこだわりがあるらしい人達が泊っていた。一つ前の型の日産ローレルで、仲間の中で最も車に詳しい男がこれはKPGC130というのだと教えてくれた。C30というのが大元の番号でCと30で車型（この場合はローレル）を示す。10は２リッタークラスまでの小型車、30は２リッター以上の排気量をラインナップにもつ大型車で使われモデルチェンジの度にC30、C130、C230と番号が変って行く。Gはロングノーズとショートノーズの二種類の車形を持つ場合のロングノーズタイプ、Ｐは排気量違いがある場合の大排気量クラス、一番先頭のKはセダンとクーペの２車種がある場合のクーペタイプを表すのだと、その車に詳しい男が事細かに教えてくれたのだった。車愛好家の仲間内ではKPGC130を通称、ブタケツと呼ぶのだと言う事も教えてくれ「俺たちもいつかこんな風に同じ車型で揃えた愛車を持って繰り出そうぜ。」というのにフンフンと相槌を打っていたのだった。
（KPGC130型ローレル）
