ヨーロッパを始めて旅行すると、西洋料理のバター、オリーブオイルなど脂分の多い食事で次第に胃もたれを感じるようになるようだ。我々夫婦も最初のパリ旅行の際にこれを感じ、日本食レストランを多用した。南仏旅行で初めてヨーロッパを経験した娘と息子もマルセイユ、エクスへのドライブから帰ってきて、もうレストランはいいというのでホテルの部屋で、日本から持参したカップ麺をルームサービスで採ったポットのお湯を使って夕食代わりに作ってやる。
我々夫婦は二人だけではホテルの一階にあるレストランに食事に出ることにする。このレストランはホテルのダイニングも兼ねていて、ホテル側からも外の通りからも出入り出来るようになっている。
食事は軽めにしておいて、念願のパスティスをアペリチーフとして、その後本当はレ・ボー近辺のレストランで試すつもりで逃したこの地方の有名なワイン、ジゴンダを頼むことにする。エスカルゴともう一品、軽い料理を頼んだ後、ジゴンダをと言ったら、最初無いと言われた。そんな筈はないと思ってよく訊くと、グラスで頼むと思ったらしく(そんな小さなのは)無いと言ったらしかった。「Un bouteille, s’il vouz ple. (大瓶、一本で)」と頼み直したら笑顔で「D’accord. (承知しました)」と返してきた。
ジゴンダはGigondas と書くので日本ではよくジゴンダスと間違って呼ばれてしまうことが多いが、フランス語では語尾の子音は通常読まない。血の赤とも称される凄く濃い色の赤ワインで、当然味も凄く濃い。シャトーヌフ・デュ・パプ(教皇庁のワイン)と並んで、南仏では有名な赤ワインだ。