マルセイユまでの道は結構単調だった。麦畑にポプラや糸杉の防風林が所々に一列になって植わっているのが典型的な眺めだ。ときどき桃や杏の果樹園、そして葡萄畑などに変わるくらいだ。
低い丘があって、その峠を越えるとマルセイユが見えてくる。その直前に海のようなものがあり、海だと叫ぶと、運転手は「いや、あれは沼だ。」と言ったみたいだった。
そして緩やかな坂をおりながらだんだんマルセイユの街に近づいていった。
正確にはマルセイユの旧市街というべきなのだろう。写真などで見知った風景が徐々に近づいてくる。何と言っても、丘の上にたつノートルダムドラガールが典型的なマルセイユの写真で、それに海とヨットを加えたものがマルセイユの景色の絵の定番だ。そしてその風景がその時私たちの目の前にあった。
旧市街(オールドポートと運転手は言っていた)に入ると、港を抜けてまずノートルダムドラガールに登るという。ポートを通り過ぎるとき、昼の参考にと、ブイヤベースを食べさせたら1番と2番の店というのを教えてもらう。
ノートルダムへの坂道は結構長かった。ここを歩いて登っていたとしたら相当大変だったろうと、改めてハイヤーにして良かったと思う。
ノートルダムは鐘楼が修理中であったので、外からみた景観は今一つであったが、マルセイユの街の守護の聖母マリアは、その金色の姿を見せてくれていた。古くからのメル友の一人が事前に感想を述べていたほどは、下品には見えない。アビニョンでもパリででもこの金色の像を見慣れていたせいかもしれない。