ホテルに着いたのは夜遅くだったので、一夜明けて１０階のホテルの窓から見る景色は初めてに近いものだ。夜はビルの灯りだけが見えていたのだが、高層ビルばかりではなく、結構緑も多いのが判った。もっともこの時は今から２０年近く前の事なので、今では景色は一変している筈だ。
朝食は三階のレストランとのことだったので、別部屋で寝ている子供達を起してエレベータに乗る。エレベータは素通しのガラス張りで中庭のような中央ホールが遥か階下に見え、エレベータが３階に近づくとレストランの様子が上から観てとれる。朝食はお決まりのビュッフェスタイルで、手作りオムレツ、ハム、ベーコンなどの他にアジアンなお粥が愉しめる。
食事をしながら周りの人達を見回すと老夫婦や老人の小団体というのが多い。それもおそらくはアメリカ人という感じだ。多分、昔、戦争で来た地を想い出を頼りに訪ねているというパターンではないかと想像される。戦場に架ける橋の世界だ。その日はシンガポール市内観光で集合が結構早いので、そそくさと食事を済ませ、荷物をまとめて集合場所のホールへ急ぐことになる。
