norimakihayateの日記

バーチャル旅日記からスタート。現在は私の国内旅行史に特化しています。

フォード訪問

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 デトロイトの五日目には今度はフォードのテクニカルセンタを訪れることになる。アナーバーからデトロイトダウンタウンへ向かって車を走らせ、デトロイトに入る少し手前にディアボーンという街があって、そこは完全にフォードの城下町だった。

 私の記憶では自動車業界は80年代前半ぐらいまでは、系列の会社間で完全に閉ざされた世界だったと思う。それは系列間の競争が激しく、社内の秘密は極秘で決して競合他社に漏れてはならないとされていたからだ。それが80年代後半からは、次第に競争相手ではあってもお互いに情報交換をするようになる。私がデトロイトを訪れたのはちょうどそんなタイミングだった。

 私の居た会社とフォードはこの頃、開発部隊を中心に急接近していて、毎年一回テクニカルミーティングをそれぞれのサイトで開くまでになっていた。そんな関係もあって、フォードはGMよりも更に歓待してくれて午前中から夕方に掛けてミーティングと見学を行い、夜はフォード技術陣の招待で河を越えた対岸のカナダ、ウィンザー地区まで夕食に繰出したのだった。

 夕食の席ではこちら側とフォード側で一人ずつ交互に席を取り、両隣と色んな会話を楽しむことが出来た。尤も、私と同行したT氏とI氏は会話を楽しめたかどうかは定かではない。

 その時の会話で驚いたのは、私たちから見て白人と思われた人達の間でも人種差別があるという事だった。私の隣に座った技術者は、私とほぼ同じ仕事をしている人だったが、イタリア移民との事だった。彼が言うには、「あの真正面の男もヒスパニック系の移民なので、私と同じくこの会社では出世はおぼつかないよ」との事。30年前のアメリカは確かにアングロサクソン系白人中心の社会だったようだ。