デトロイト到着四日目の午後にして初めて、発表講演の会場となっているコボホールへ向かう。コボホールは今ではロックバンドのキッスがコンサートを行ったことで有名なようだが、30年前の当時は見本市などが行われる東京のビッグサイトみたいな感じの建物だった。駐車場は隣のビルの屋上にあって、ルーフと呼ばれていた。
コボホールへ最初に訪れたのは、レジストレーションと呼ばれる講演発表の受付の為と、一緒に同じ設計部から発表に来ているI氏の講演を聴取する為だ。発表の様子、会場の雰囲気などを事前に把握しておこうと思ったのだ。
レジストレーションの際に、係の人から会場ではカルーセルが足りないので是非持参して欲しいと言われる。カルーセルというのが何なのか、最初は全く判らなかった。しかし何処かで聴いたような言葉だと思って、ずっと考えていて、映画「いちご白書」の主題歌、バフィーセントメリーが歌ったジョニー・ミッチェルの名曲、サークルゲームの歌詞に出てくるのだった。
We are captive on a carousels of time.というような歌詞だったと思う。私達は時の回転木馬の中に閉じ込められているというような意味だった筈で、カルーセルは回転木馬なのだと気づいたが、はて、回転木馬を持ってこいとはどういう意味だ?と思ったのだが、発表講演会場を観て、はたと気づいた。
発表用のスライドをあらかじめセットしておく円筒状の入れ物のことだったのだ。次の写真で、私が手にしている物だ。