norimakihayateの日記

バーチャル旅日記からスタート。現在は私の国内旅行史に特化しています。

GMミーティング

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 ここ暫くリアルな旅に出ていた為に約3日分、更新が空いてしまった。帰宅したのが深夜を廻ってしまったが、これは昨日分。

 

 駐在員事務所でウェルカム・パーティが開かれた日の午後は、エンジン系の駐在員によってGMの技術者たちとのミーティングがアポイントされていた。おそらくはこちら側からミーティングを申し入れていたのだろうが、GMは意外にも歓待してくれた。こちら側から参加したのは、遅刻、叱責三人組の私とI氏と関連企業のT氏の三人、それにエンジン部門出身の駐在員二名だったと思う。

 GMは当時、世界の自動車業界で揺るぎないナンバー1企業だ。極東からやってきた新興のアジア企業のエンジニア達を田舎者でも迎えるかのように優しく迎えてくれた。その後十年も経たない間に、日米の自動車産業の構造は一変することになるのだが、その当時はとにかくナンバー1企業だった。

 GMのサイトに入る前、一台のトレーラーが見覚えのある車をGMの開発サイトに運び入れていた。真白な箱型セダン。日本では7thスカイラインと呼ばれていた車で、新車発表されたばかりのもの。しかも米国では当時スカイラインシリーズは販売されていない。

 新しいスカイラインには新開発のエンジンが搭載されていて、同行した同じ設計部のI氏はそのエンジン開発に関して発表講演を行う為に米国入りをしていたのだ。私自身もその新開発エンジンのエンジン制御部分には携わっていた。

 彼らの設計部署の内部に招じ入れられて驚いたのは、すでに開発部隊の居る隅の部屋には、新型スカイラインに搭載されていた新開発エンジンが分解展示もされていたことだ。エンジン本体は先に輸入購入済みだったようだ。

 ミーティングでは、当然ながらエンジン開発の方向性の議論にもなった。そこで驚いたのは、こちらからの「今後のエンジン開発はターボチャージャー換装によるものとDOHC化(ダブルオーバーヘッドカム方式への移行)のどちらが有力と考えているか」という質問に対して、答えは「出力向上に何故排気量増大をまず考えないのか?」という素朴な疑問だった。勿論日米で税制問題の違いもあるのだが、このアプローチの違いが数年後に日米の自動車競争に大きな意味を持ってくるということは私達自身もまだ気がついていなかった。