昨日も一万歩達成して、中山口から下市、御来屋（みくりや）と過ぎて、名和（なわ）というところまで到達した。
初めての欧州出張は、Ｎ社がその後出す世界戦略車の為の市場調査が主たる目的だった。Ｎ社がその当時、欧州に輸出していた中型車は並み居る欧州車の中で特に評判が芳しくなかった。それが何故なのかを探るというようなものだ。
欧州車の中型モデルを５、６車種選定し、その同等クラスのＮ社であったＴ１２（現地名スタンザ）が加えられ、欧州じゅうの街中とアウトバーンを走ってデータ取りをするというものだった。
出発基地はその当時、Ｎ社の欧州開発拠点があったベルギーのザベンタムという地方都市だった。空港からは比較的近いが、市の中心にゴチック建築の割と小さな教会があり、そこを中心に住宅街が広がっているような街だった。
着いて最初の昼食に入ったレストランは女給がフランス語しか喋れなかった。我々は英語すらもおぼつかない遠征隊だった。大学生の時からＮＨＫのラジオフランス語講座を使ってずっと独学で勉強していたので、片言でしかなかったが、その女給に注文をしたのは私だった。注文を聞き終えて、その女中がひと言喋って厨房へ去った。仲間が「何と言ったの？」と訊くので、「A tout de suite.」（只今、すぐに持ってまいります）と言ったのだと教えたのだった。
