最初に記事訂正を。昨日の記事で7代目スカイラインにN社系の開発による6気筒DOHCエンジンが搭載されたのをR20型と書いてしまったが、正しくはRB20型だった。N社開発の直列6気筒エンジンの最後のバージョンとなるものだ。また、使った画像は鉄仮面スカイラインではなく、そうなる前のバージョンのものだ。確か、4気筒DOHCエンジンFJ20が採用された時はまだ鉄仮面のボンネットではなかったと記憶するのだが、もうはっきり憶えていない。
さて、タイトルの話に戻って・・・。
仰々しい本日のタイトルであるが、私自身そんなに多くの開発者を知っている訳ではない。そのうちの一人、エンジン制御用電子機器をたった一人で担当していた若い技術者(私自身も当時は若かったが)を知っているに過ぎない。
その彼は新しいスカイライン用DOHCエンジン用電子制御システムを設計する為に私の居たグループに実習に来たのだった。1年近く彼の指導に当たったのだが、とにかく実直を絵に描いたような人物で、巨人の星に出てくる左門豊作を連想させた。
その彼が出身設計部署に戻って携わったのが6代目スカイラインのマイナーチェンジから投入された4気筒版DOHCエンジンFJ20型だった。
当時の電子制御エンジンは各気筒同時噴射時期というのが常識だった。気筒毎の噴射時期の制御を一つのパワートランジスタで賄えるからだ。ところが新しいスカイラインに導入された燃料噴射システムは各気筒独立でシーケンシャル燃料噴射と称していた。つまり4気筒で4つのパワートランジスタを必要とするシステムだった。私も出来ればそういうシステムを立上げたかったのだが、コストパフォーマンスという障壁がそれを許さなかった。しかし荻窪設計グループを擁していた旧P社系役員はそれを容認したのだった。そこに私は当時、零戦に通じる設計魂を感じたのだった。シーケンシャル燃料噴射は勿論、今ではコモンセンスとなる常識になっている。