norimakihayateの日記

バーチャル旅日記からスタート。現在は私の国内旅行史に特化しています。

オークランドレイダース ケン・ステイブラー

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 昨日は御代田から出発して、平原を過ぎ小諸までやってきた。軽井沢からは新幹線開通により第3セクターとなったしなの鉄道沿いに進んできた。小諸からはしなの鉄道小海線に分岐する。金沢に向かう北陸新幹線小海線佐久平を通るのだが、その後小海線から離れてしなの鉄道に近いほうを走るので、小海線には乗らずにそのまましなの鉄道篠ノ井のほうへ向かうことにする。

 

 私が担当していたマイコン等で制御して実際のハードウェアを動かすものを組み込みシステム制御などと称していた。大型計算機などで計算を実行し、その結果を使って何かをするというような使い方に対しての言い方だったようだ。組込みシステムの反意語は汎用システムと言っていたようだ。この言葉遣いには若干の違和感はあるが、両者の最も大きい違いは、もし何らかの間違いに気づいた際に止められるかどうかという事にあると言えるかもしれない。例えば銀行のオンラインシステムは汎用システムの方に分類されると思うが、損害の大小はさておくとしても、プログラムの間違いに気づいた場合に止められなくはない。不具合を解消できるまでの間、お客様に待って貰う訳だ。

 

 組込みシステムの場合はそうはいかない。不具合を持っていると判った商品は既にお客様の手にある。それを動かす、動かさないはお客様次第だ。ちょっとこれは都合が悪いので一時止めますという訳にはゆかないのだ。それだけ不具合に対しての重みが違う。だから商品をリリースするというのは言葉には表現し尽せない重みが伴う。

 

 それでも実際問題としてバグは発生する。量産間際になってからの問題発見はプロジェクト、ひいては商品そのものの存亡を左右する。ましてやそれが、その商品を担当するプログラマの技量に掛かっている場合のプレッシャーは想像を絶するものがある。

 

 私自身が組込み型システムのプログラム担当をしていた時に感じていた思いは、アメリカンフットボールクォーターバックにとっての2ミニッツウォーニングに似た物がある。と言っても、普通の人には何の事だか判らないに違い無い。

 

 そもそも組込み型プログラミングが一般的でない上に、アメリカンフットボールというゲーム自体が普通の日本人には馴染みが無い筈だ。

 

 ここでは組込み型ソフトにも、アメリカンフットボールのルールにも言及するのは本意ではないので、最低限で説明をさせて頂く。

 

 まずアメリカンフットボールだが、このゲームはサッカーと大まかに似ていて、前半と後半がある。そのそれぞれの終了2分前になると、その時間になったという宣言がレフリーから選手に告げられる。これが2minutes warningだ。アメリカンフットボールはバスケットやサッカーなどとも同様で、ある意味時間との勝負だ。決められた試合時間の中で、どちらが多く得点したかで勝負が決まる。その試合時間は時計で計られるのだが、この時計が止まる時と止まらない時がある。時計が止まるか止まらないかは、特に負けているチームにとっては重要なことになる。時計が止まれば反撃に向けての作戦をチーム全体に伝えることが出来るのだ。2minutes warningは負けているアメフトチームにとっては物凄く重要なタイミングと言える。最後の2分にどうやって逆転するか、チーム内に意思統一を図る重要な最期のタイミングとも言えるからだ。

 

 組込みソフトの製品のプログラマを担当していた頃、私が何時も思い描いていたのは、2minutes warningを受ける際のアメフトの司令塔とも言える、クォーターバックの姿だった。バグがある。しかし立上りまでもう時間は限られている。思い悩んでいる暇はない。今、自分が適確な指示を出すしか問題を打開する方法はない。待って貰う余裕はない。この後は走りながら答えを求めてひたすらに指示を出すしか術は無いのだ。

 

 私がアメフトを好きになったのは中学卒業間際から高校生に掛けての頃だったと思う。その頃、贔屓だったのはオークランドレイダースというチームとそのチームを率いていた司令塔のクォーターバック、ケン・ステイブラーだった。彼は、負けていた自チームを最後の2分で勝利まで何度も導いた男だった。時間が無い中、最後まで諦めないで冷静さを失わず最前の方法を考えだして自チームを勝利に導く勇気を教えてくれたのはステイブラーだった。私が立上り目前で、バグの存在を認識した際にいつも思い浮かべたのはケン・ステイブラーの事だった。