norimakihayateの日記

バーチャル旅日記からスタート。現在は私の国内旅行史に特化しています。

ROMの識別ルール

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 昨日は熊谷から出発して籠原を過ぎ、深谷のほんのちょっと手前まで来た。

 

 マイコンによるエンジン制御の開発が進んでくると、EPROMを扱う部署はどんどん増えていった。プログラムを作るのは設計部署に限られていたが、ベースになるEPROMからデータだけ書き換えた新たな実験用ROMを作る部署は電子機器実験部署、エンジン実験部署、車両実験部署と多岐に亘るようになる。

 

 そうなると、誰が何を書き込んだのか正体不明のROMがあちこちに点在するようになってしまった。そこでROM書き込みに厳正なルールを施行する事にした。一度書き込んだEPROMには紫外線照射によるデータ消え防止も兼ねて必ずガムテープを貼る事。ガムテープにはROMの身分証明とも言える6桁か7桁の英数字をマジックで書き込む事。最初の2桁は書き込んだ部署を示す英記号とする。真ん中の2桁はプログラムバージョンを示す記号とし、設計が指示したものを使う事。最後の2桁、もしくは3桁は各部署毎に追番を取って、追番管理は各部署毎に管理ノートを作って行うこと。このルールを実験各部署に申し渡しをして守って貰うことにした。設計の新人の若僧の言う通達だったが、訳の分からないROMが氾濫する事は自分達の首を絞めることにもなるので、このルールはすぐに励行されるようになった。

 

 ROMの管理は管理識別番号だけでは不十分だった。何を書き込んだのか、本人の申告だけでは心許なかったからだ。ROMの中身を掃き出させたダンプリストというのを出力することは出来た。しかし、これは中身のビット状態を16進数二桁で並べたもので、それから内容を読み取るのは困難な事だった。

 

 そこで考えたのがSPEC LISTというものだった。ROMを機械的に読み取ってその情報を各データが意味する物理データに変換して小数点符号付きの十進数に直し、物理単位と共にリストにして打ち出すようにしたのだ。これをスペックリストと便宜上読んでいた。

 

 変換プログラムは当初は大型計算機上でFORTRANを使って書いた。データの場所(アドレス)と単位はプログラムによって決まるので、プログラムの1バージョンを作るとそれに合った変換プログラムをFORTRANで書いて準備しておき、全てのROMのスペックリストを作る訳にはゆかないので、開発の節目、節目でこれで次工程に送るという手配の段階になったところで、各部署の上位者までのサインを入れる欄も作って、中身を物理量でチェックしてから次工程に渡させるようにしたのだった。

 

 今日の画像は当時使っていたEPROMの消去器だ。確か医療器を殺菌するのに使うような器具を改造したものだった。