昨日は緑駅を越え、札弦(さっつる)にほぼ到達した。
軽音楽系のサークル活動を通じて、私は正直言って、巧いギタリストでもなかったし、巧いピアニストでもなかった。しかし誰にも負けない特技はひとつあった。それはコード識別能力だった。
そんな言葉は一般用語では無いので、何を言っているのか判らないかもしれない。色んな楽曲には伴奏用にコード、つまり和音が楽譜に付されている。それが、楽譜を見なくても、一度音楽を聴いていれば、大体再現出来たのだ。メロディラインから和音構成を再現するのは、ギターにしろ、ピアノにしろ、それほど難しいことではなかった。しかも、歌う人にとって、キーが高すぎたり、低すぎたりした場合、変調してオリジナルのキーからずらして演奏する際に、演奏すべきコード(和音)が何なのか、殆ど即時に把握出来ていた。絶対音階という言葉がある。私には絶対音階は無かった。しかし、相対音階というものに関しては、私は絶対的な自信を持っていたと言える。
Am(エーマイナー)の曲の中でのDm(ディーマイナー)は、Em(イーマイナー)に変調した場合、Am(エーマイナー)であるみたいな事だ。だからメロディさえ知っていれば、誰かが歌うの伴奏する際にどんなキーを要求されようとも困ることはなかった。そんな私なので、仲間内でキャンプへ行ったりクリスマスパーティをやったりする際には、無くてはならない存在だったのだ。