長崎に到着してから１０日目になる。長崎には大学生の時に一度訪れていて、その時の写真を使おうと思っていたら、何故か見当たらなかった。幼年期から大学時代ぐらいまでの写真は２０００年を越えて少しした頃、スキャナ撮りでデジタル画像に変換した。いや、全部変換したと思っていたのだが、一部は抜粋だったようだ。それで屋根裏から古いアルバムを繰ってみたら、デジタルデータになっていない写真も少なからずあることが判明した。長崎の旅のもそうだった。
色は相当褪せている。ネガフィルムを探し出してきて、スキャナで反転補正すればもっと綺麗な画像になるかもしれないのだが、山のようにあるネガフィルムから所望の写真を探し出してくるのはかなり手間のかかる作業になる。
長崎へ行った次の年、北海道にも旅行している。その時に函館にも寄っているのだが、長崎と函館はとてもよく似ている。坂があって、路面電車があって、古い洋館や教会があって・・・。このくらい古い記憶になると、頭の中にある風景がどちらのものだったか、怪しくなっている。何十年も経っているので、色んな物が建て変わっていて、最早、今となっては確かめようもないようだ。
再建された浦上天主堂の写真も出てきた。しかし、撮ったような気がしていた首が落ちてしまった石像というのは見当たらなかった。人間の記憶なんて結構当てにならないものだ。
