つい先日、友人の父親の通夜があった。香典返しに入っていたのは、静岡の銘茶だ
った。通過したばかりの牧の原近辺のお茶だった。聞いてみると、葬儀屋の仲介する
普通のお茶ではなく、故人の知り合いの家で作っているお茶とのことだった。香典返
しの中身が通り一遍のものではなく、いいものだと心がほっとする。
さて、先日は掛川の先の愛野というところから出発して、袋井の先の磐田という所
まで到達した。袋井というと思い出す場所がある。数年前だが、11年間ずっと使っ
てきた四輪駆動七人乗りワゴン車の最後のドライブとして出掛けた場所で高速を降り
た場所だ。その時、その愛車を手放したのは老朽化したからではない。元東京都知事
I氏が現役だった時に主導した施策で、東京近辺の5県で10年以上の車検が認めら
れないことになったからだ。このI元都知事の功績を評価する人も居るが、私は評価
しない。目立つ事ばかりに勤しんだというだけで、本質的には世の中に貢献していな
いというのが私の評価だ。都が経営する銀行や地下鉄の件もそうだが、このディーゼ
ル車規制も、問題の本質である大型トラックの都内乗り入れについて何もせず、一般
者に目立つ乗用車のディーゼル規制を導入して全体的な効果よりも注目だけを狙った
ようにしか思えない。
まあ、それはともかくとして、長年の愛車で最後のランに向かった先は美術館であ
る。秋野不矩という女流西洋画家の個人美術館が天竜川のほとりにひっそり建ってい
て、ずっと訪れたいと思っていたので、最終ドライブの先に選んだのだった。天竜川
を見下ろす丘の上に、それは要塞のように聳えていた。