富士川を越えて、由比というところまでやってきた。
由比というと、例年台風が太平洋側にやってくると、必ず出てくる海沿いの道の映像が
すぐ眼に浮かぶ。下り車線が高波で冠水して通行止めになるのだ。あれは東海道だった
だろうか。東海道、東名高速、東海道線、そして新幹線とよっつの幹線が並行して走っ
ている訳だが、その一番海寄りの道だ。
由比というと、由比正雪という名が浮かんでもくる。はて、誰だろう・・・。
しばし考えていても何者なのか思い出せない。ネットのウィキで引いてみてやっと判っ
た。伊賀の影丸だ。小学生の頃、よく読んだ漫画の中に出てきた謎の男だ。侍のようで
もあり、浪人のようでもあった。ちょんまげは結っておらず、長い髪をざんばらにして
いるのが特徴的だ。由比という土地にも所縁のある人物のようである。
「何奴。おぬし、相当出来るな。」
「ふふふ。某は由比・・・正雪と申す者にござる。」
「正雪・・・とな。」
「して、そちは・・・?」
「そち・・・は、オリンピック・・。」